ASPRヘッド 使用レポート
第43回 RCCドラムスクール 夏期研修会
RCCドラムスクールの大きなイベントのひとつ、第43回夏期研修会にてASPRドラムヘッドを本格的に導入しました。そのレポートをお届けします。
1.張り替え&チューニング
ヘッド交換は、研修会が始まる当日の午前中に会場で行いました。RCC研修会では全部で16台のドラムセットを持ち込みますが、今回ASPRヘッドにフル・チェンジしたのはメイン会場で使われる4セットです。
使用タイプは
・バスドラム打面 PE-250CR(コーティング仕様・リングミュート付き・ビーター・パッド装着)
・バスドラムフロント 特注RCCロゴ入りブラックタイプ(ホールカット有り)
・タム打面 PE250C (コーティング仕様)
・タム裏面 PE188T (コーティング無し)
・スネア打面 ST250 (コーティング有り・プロトタイプ)
・スネア裏面 HC-075S (スネア裏面専用タイプ)
張り替えは講師が一台ずつ担当。そこでまず驚いたのはチューニングの容易さでした。サイズはすべて同じとはいえ、4人のドラマーがそれぞれの感覚で両面のヘッドを張り替えたら、相当なバラつきが出ることが予想されます。しかし、基本となる音が定めやすく、最終的なピッチ調整だけで4台のサウンドがバランス良く整いました。ちなみに使用したドラムはヤマハの9000(リアルウッド)、9000R、ビーチ・カスタム・アブソルート×2。それらすべてが同じ音になるわけではなく、各シェルの持ち味を引き出しつつ、心地よいサウンドで鳴り響きます。また、張り替えたばかりの状態で、ある程度叩き込んだような深みと落ち着きとを感じさせるのもASPRヘッドの特徴だと感じました。
2.レッスン&ドラムバトル
私はこの4台のドラムセットを使う中級クラスのレッスンを担当しました。中級になったばかりの方から大ベテランまで、様々な生徒さんがいるクラスです。それらのドラマーが朝から晩まで入れ替わり立ち替わり叩き続けるので、とにもかくにも耐久性が求められます。また、研修会の恒例イベントであるドラムバトルは、腕に自信のある強者たちが参加し、それぞれのプレイを猛烈にアピールしていく場。そこではさらなる“良い音”と “ 耐久性”とが必要となるので、ASPRヘッドが試される…、ある意味では心配される場面でした。しかし、結果としてはレッスンでもドラム・バトルでもASPRヘッドの耐久性の高さが実証されたと言えるでしょう。様々なドラマーが、通常のバンドでの演奏よりもはるかにハードに叩き続けたにも関わらず(特にタム類)、目立つような打痕はナシ。サウンドが劣化してしまうこともありません。もちろん、フィルムがリム部分から外れてしまうようなトラブルも、アサプラの方式であれば皆無。3日間という期間ではありますが、RCC研修会という過酷な現場での使用にシッカリと耐え、研修会後も本部教室のレッスンで問題なく使えています。
3.猪俣猛&FORCEライブ
今回の研修会におけるメイン・イベントのひとつが、RCC校長・猪俣猛が率いる伝説のグループ、“猪俣猛&FORCE”のライブ。スケジュールの都合で猪俣猛が現在使用しているメインのセットを会場には持ち込めず、レッスンで使っていたASPRヘッドを張った9000Rを使うことになりました。ここまでの“レッスン”とは違い、アコースティック・サウンドを基本とする“アンサンブル”での使用となるので、ASPRヘッドのサウンドがどのように聴こえてくるのか?も楽しみなところ……。結論を書けば、繊細なタッチからパワフルなアタックまで幅広いレンジに対応し、
しかも音楽的な音色で、美しく・力強く鳴るヘッドだと感じました。正直なところ猪俣猛はどんなドラムでも“自分の音”にしてしまう演奏技術を持っていますが、ASPRヘッドを張った9000Rは、私のイメージの中にある“猪俣猛サウンド”を十分なレベルで響かせていたと思います。
4.総評
今回は、過酷で、かつ責任重大な現場への思いきった投入でしたが、ASPRヘッドは見事に期待に応えてくれました。バスドラム&タム類に張ったLCシリーズのヘッドは、まずチューニングを決めやすいのが最大の魅力。すなわち、各ドラムの良い音で鳴るポイントを探しやすいのです。それに加え、独特の弾性による叩き心地の良さがあり、耐久性も安心できるので、“叩く楽しさ”を感じせてくれるヘッドでした。
そしてスネアの打面に使ったのは、発売間近と思われるSTシリーズ。LCヘッドよりもやや伸びのある素材なので、ハイ・テンション&ハイ・ピッチ状態にすることの多いスネアには、ある意味、LCよりも程よいテンションと余韻が得られるように感じました。もちろんLCをスネアに張ったサウンドもオススメです。この辺りは好みの問題になりますので、機会があれば両方を試してもらいたいと思いますね。
そして、写真を見ていただくと判る通り、今回使用したヘッドには、すべてにRCCのロゴが入りました。これによって、ドラムスクールとしての一体感も上がりましたね!これまではヘッドにオリジナル・ロゴを入れるという発想からして思い浮かばず、また実際にやるとなれば費用も膨大になると思われましたが……、ASPRのシステムは決してそんなことはありません。個人レベルでも現実的に考えられる予算でのオーダーが可能なので、興味のある方はアサプラさんに問い合わせてみてください。
以上、長文となりましたがASPRヘッドの使用レポートとさせて頂きます。
文責 RCCドラムスクール講師
山本雄一